一生に「一度きり」の大学生活を満喫してください
竹中 健先生
(社会福祉学科/大学院精神保健学専攻― 2024年4月1日現在 ―)
自身の専門領域と関心のあるテーマ
社会福祉士国家試験受験科目としては、「医療福祉論」・「社会調査法」を、専門科目としては「地域社会論」、一般教養科目としては「ドイツ語」を担当しています。
専門は社会学です。社会学というと、高校生のみなさんは「倫理」や「政治・経済」、「現代社会」といった科目を想像するのかもしれませんね。
ですが、実際はそれとはずいぶん、イメージは異なります。
社会学は「社会の決まりごと」を暗記させられる科目ではなく、「社会がどのようになっているのか?」を調べるための学問であり、今ある社会のルールを「どのように改変していけば、人びとはより幸福になるのか?」を考えるための学問です。
現代の日本社会の医療や福祉の仕組みにどのような問題があり、どのようにつくりかえていくべきかを考えます。
私は医療と福祉の対象領域にたいして、社会学という学問が創り上げた方法論のなかで考察しています。
具体的には、たとえば病院のなかで活躍するボランティアさんたちのことや、終末期の医療のありかた、アルコール依存症の人たちの回復のための自助組織のこと、介護保険の行政による運用のありかたについて、ジェンダー・マイノリティの生きづらさを解消する方法についてなどのテーマに取り組んできました。
人びとの人生や暮らしについて考え、それが少しでも豊かになるように工夫するための学問体系が、社会学を含む社会科学であると私は思っています。
私はいつも社会福祉のありかた、現状を批判的に見つめなおすという立場で講義を行っています。
しかしながら、実際には多くの学生さんが国家試験に合格するための勉強にとらわれすぎて、現在の日本の社会福祉制度、医療制度の暗記と理解で終わってしまうことがとても残念です。
国家試験制度の設計そのものが、即戦力となる医療ソーシャルワーカーを企業としての「病院」に送り出すことを念頭に置かれていることの弊害なのでしょう。
現存する社会福祉の諸制度をよく知っただけの有資格者、国保連や行政、病院組織にとって都合の良い勤勉な労働者を創り出すための職業訓練に特化した大学とは一線を画した大学像を、私たちは追及しています。
- (2013年3月刊行 単著)
晃洋書房
(2011年11月刊行 共著)
晃洋書房
(2012年4月刊行 共著)
長崎出版
(2014年5月刊行 共著)
北海道大学出版会
(2022年11月刊行 共著)
北海道大学出版会
(2023年3月刊行 共著)
昭和堂
受験生のみなさんへ
大学が専門学校と異なる点がもしあるとするならば、それは必ずしも就職のための手段として4年間のカリキュラムが位置づけられ、組まれているわけではないことだと思います。
もちろん、「養護教諭」の資格や「精神保健福祉士」「社会福祉士」の資格を取得することは、就職のためのもっとも重要な最初のステップであることには間違いありません。
でも、学生さんにはもっと大きなものを学んでほしいと我われ教員は期待しています。
それは、職業を得ること以外の部分において、ご自身の人生を豊かにするための何かを、大学の4年間のあいだにひとつでも、ふたつでも獲得してほしいのです。
それが何なのかは、みなさんお一人おひとりで違うと思います。
自分で追求しないと、絶対に得ることはできないものです。
真剣に打ち込める何かを、勉強でもよいし、それ以外のことでもよいので、徹底的に追及して、のめりこんでみてください。
期待しています。