「発達障がい」を理解するための「心理学」の講義は学内で大人気です！
水間 宗幸先生
（社会福祉学科／大学院精神保健学専攻― 2020年4月1日現在 ―）
専門領域および関心のあるテーマ
もともと養護学校（現在の特別支援学校）教員志望で、障がい児教育を学ぶために大学へ行きました。
そのため、持っている資格は、小学校、中学校、養護学校の教員免許所持者です。
学生時代に、当時まだ珍しかった「発達障がい」を持つ子どもたちとかかわるようになりました。
当時は「発達障がいってなあに？ 本当にそんな子どもたち、存在するの？」という正体もわからない時代。
彼らは何に対して、どうして苦手なのか、そんなことをぼんやり考えながら、家庭教師をやったり、ボランティアで彼らと仲良くなったりしていました。
時は過ぎ、現在。
さまざまなことが分かってきました。
どうやら子育ての問題ではなく、先天性のものらしい、発達障がいにもいろんな種類があるらしい、気持ちを切り替えたり友達と上手に遊んだりすることが難しいらしい。
それらの困難さに対して、どんなアプローチが有効なのか？
いろんな試行錯誤をしながら、少しずつ彼らの「生涯」をいかに支えるか、という課題が大きなテーマになってきました。
発達障がいを持つと、被虐待のリスクが上がること、独特の考え方により社会的なルールを理解することが困難なこと、偏った考え方のために自分を大切に思えないこと、進学をするときに学校を選ぶことに困っていること、不登校や引きこもりの原因のひとつになること、保護者やきょうだい、学校の先生たちへの支援も大切なこと、就労するときも、ちょっと気を付けなければいけないことなどなど。
本人を支えるだけでなく、周囲への理解や支援が必要になるということ。
そして現在行っている活動は、各地の自治体と一緒になって、幼児期に必要となる保護者さんへの子育て支援。
学齢期の子どもたちとその保護者を中心にした病院での家族カウンセリング、そしてその中では就労に向けたアドバイスなどなど。
また新たに分かり、今後に向けた課題もあります。
発達障がいや軽度の知的障がいを持つと、生活困窮の要因になる可能性が高いということ。
そのため、子育て支援や教育がさらに重要になるということ。
まさにゆりかごから墓場まで。
いろんな発達スタイルの人たちが、いかに健康的に納税者となり、豊かな自分の人生を歩めるようにできるか、そんな支援はどんなものが必要となるのか。
そんなことを、ごちゃごちゃ考えております。
受験生のみなさんへ
社会福祉の領域は広いです。
出生前から墓場まで。
ちびっこから高齢者まで。
障がいがある人、ない人。
最も大きな社会福祉の考え方の中には、教育も含まれます。
本学の社会福祉学科の特徴は、希望すれば、福祉も教育も学べるところです。
資格が付いてくるかどうかは、結果です。
ただ、教育と福祉は切っても切れないのです。
学校に通っている子どもは、いつか卒業し仕事をします。
ざっくり言うと、文部科学省管轄から厚生労働省管轄へと移るわけです。
いつ、どこで、どのようなタイミングで、誰にどんな支援を行いたいのか。
いろんな学びをしながら、４年間で選択すればよいのです。
卒業生の中には、養護教諭になりたいと入学したものの、高齢者の施設や、就学前（幼稚園保育園の年代）の子どもの療育施設に就職した人たちもいます。
養護教諭をメインに、福祉をサブにという形で大学を卒業し、養護教諭として働いている人もいます。
４年間で、自分の将来を修正することもできます。
未来は選択できます。
そのための時間もカリキュラムもあります。
さまざまな領域を専門とする先生方もいます。
いろんな先生や友人とともに考えながら、経験しながら、自分の未来を選択してみませんか？
学生時代にしておいてほしいこと
いろんなライブに行ったなあ。
ステージもないような小さなライブハウスにも。
いろんなお芝居に行ったなあ。汚く古い芝居小屋にも。
いろんな音楽を聴いたな。
いろんな雑誌や本を読んだな。
無駄に深夜に友人と集まって飲んだり語ったりしたな。
いっぱいボランティアやったな。
夏休みには障がいを持つ子どもたちを連れていくキャンプを２つも運営してたな。
いろんな子どもやその家族と話したな。
家庭教師のバイトで、発達障がいの子どものお宅を何軒もやったな。
いろんな先生と出会って、お酒飲んだな。
振り返ると、無駄なことはありませんでした。
今でも先生は「師匠」であり、友人は「支え」であり、経験は「財産」です。
これらのものは、受け身では得られません。
自分から１歩進んでみると、世界は広がります。
もう１歩進むと、世界はもっともっと広いということを知らされます。
知らないことを１つ知ると、知らないことが３つに増えます。
不思議ですが、本当です。
自分の「師匠」「支え」「財産」は、求めれば得られます。
何を求めるかは、ひとりひとり違うでしょうが。
特定の宗教を持ってはいませんが、「求めよ、さらば与えられん」は本当です。
求めるものを手当たり次第探してみましょう。
すると、いつの間にか与えられています。
不思議ですが、本当です。
そんな不思議な経験を、たくさん味わってください。
