九州・沖縄で、看護師・社会福祉士・理学療法士・はり師・きゅう師・歯科衛生士を目指す人のための大学

橋本 眞奈美(社会福祉学科/大学院精神保健学専攻)|社会福祉学科

「障がい学」という学問より、社会的弱者の声に耳を傾けます

橋本 眞奈美先生

(社会福祉学科/大学院精神保健学専攻― 2020年4月1日現在 ―

社会福祉学科で教員をしている橋本眞奈美です。
私が皆さんと関わる場面はとても多くて、児童福祉に関する学びや、障がい者の心の声を聴く大切さなどを伝えることを目指して日々頑張っています。また、社会福祉士という国家資格を目指していく上では「ソーシャルワーク実習」や「実習指導」という科目も重要になります。
ここにも私は関わるので、皆さんと関わる場面はとても多いと最初に言ったのです。

最近、テレビやニュースで児童虐待という言葉に接する機会が増えてきました。
とても悲しく、胸が痛みます。
本来は“子どもは社会の宝”です。
子どもであっても赤ちゃんであっても大切な一人の人です。
人としての権利を大切に守りながら、育ちの環境を整えるのは親だけの責任ではありません。
私たちが生活している社会全体の責任です。
この視点から児童のための福祉に一番求められるのは何だろうか…と考えていくことは、児童福祉を学ぶことに繋がります。

また、“障がいのある人”と一言でいうことはできても、
どのような障がいなの?
どの程度の障がいなの?
ご家族は?
今は何歳なの?
学校に行かれているの?
それとも働いているの?
一人で暮らしているの?
家族皆さんと暮らしているの?
ご本人の希望は何?
と色々なことを知らないと、障がいのあるその人のことは分かりません。
だからこそ丁寧に向き合うことが必要になります。
そして日本という国が障がいのある人のために用意している様々な法律や制度を学んでいる私は、障がいのある人が生きていく上で有用な制度についてその人にアドバイスをした結果とても喜んでいただけるときは、勉強していて良かったなと思います。
皆さんも自分が学んだこと、自分が身につけた知識を誰のために役立てようかなと考えてみられませんか。
そこに大学という場で4年間過ごし、友人たちと学び合う意味があると私は考えます。

私は大学生の時に障がい学という立ち位置から社会的弱者の方の声を拾い上げる重要性に気がつきました。
私に当事者の立場から物事を考えることの重要性を教えてくださった先生は視覚に障がいがありました。
その先生から学んでわかりやすなぁと思ったことが次のことです。

「障がい者が駅のホームを利用するので、階段だと大変だからエレベーターを設置してあげよう」という意見が出され、皆さんが「それはとても良いことです。障がい者はかわいそうだからね」と賛成されました。
これに異議を申し立てたのは車椅子を利用している障がいのある人でした。
彼は「私たちが暮らす社会には大勢の障がい者がいます。障がい者がいる、車椅子を利用する人がいる、視覚障がいや聴覚障がいの人がいる、これらは当たり前のことなのだから、エレベーターを初めから設置していない社会がおかしいのです。障がい者がかわいそうだから設置してあげようというのでは、最初からエレベーターを設置していない社会の責任が見えません。」

社会の中には障がいのある人も、親からの養護を受けづらい子どもも、あるいは家族と離れてしまった人もいます。
色々な事情を抱えていても必死で生きている人が大勢います。
大学で社会福祉の知識、児童福祉の知識、障がい福祉の知識など色々なことを学びながら、ソーシャルワーカーとして人と接するための理論とスキルを学ぶことで、私は社会福祉士として専門性を磨いていこうと決めて大学や大学院で学び、また研究を深めてきました。

自分の知識を誰のために使うのかという問いは、大学に職を得た今でも忘れることない私自身に向けた重要な指針です。