福祉も環境保全も目指すは「人々の幸せです」
安藤 学先生
(社会福祉学科― 2020年4月1日現在 ―)
『私が取り組んできたこと』―その1―
- 漂着物
- みなさん、こんにちは。
私がこれまで取り組んできたことの一つを紹介します。
社会福祉と私が今から紹介することは、少々かけ離れていると思われるかも知れませんが、人々の幸せを目指すという意味からは共通することかも・・・です。
みなさんは、島崎藤村の「椰子(やし)の実」の歌はよく知っていると思います。
「名も知らぬ 遠き島より流れ寄る 椰子の実一つ 故郷(ふるさと)の岸を 離れて汝(なれ)はそも 波に幾月(いくつき)・・・」
遠き島より流れ寄る、椰子の実一つ・・・とてもロマンを感じる素敵な歌です。何千キロの海の彼方から、何か月もかけて、いや何年もかけて日本の海岸に流れ着いた椰子の実のその旅を、みなさんは考えたことがあるでしょうか。
この椰子の実は、海流にのって時には名も知れない島に漂着し、そこでは同じように漂着して来たいろんなものと出会ったことでしょう。
みなさんはどのようなものと出会ったと思いますか。
素敵な貝殻でしょうか、また同じような椰子の実でしょうか。
でも現実はもっと過酷なものなのです。
椰子の実が出会ったものは、発泡スチロールであったり、ペットボトルであったり、プラスティックの破片であったあり、化学繊維でできた漁網などで、そのほとんどが人間生活から出てきたものなのです。
これらは、今から100年前にはなかったものばかりです。
科学技術の進歩で作り出されてきたものです。
私たちの日常生活にとっては大変便利なものですが、今それが海洋環境汚染の原因になっています。
そうです、海の環境を破壊しているのは海の生物や陸上の動物たちではなく私たち人間なのです。
私は30数年に渡り、東南アジアの海岸や太平洋の島々の海岸に流れ着いた漂着物を集めて、それがどこの国から流れ着いたのかを調べています。
また廃油や排出された廃棄物などについても調べています。
海洋汚染防止法が定められた今日でも、海はゴミ捨て場となっているのです。
流れ着いた漂着物には生産された国の言語が印刷されている場合がよくあり、それを見ればその漂着物がどこの国から流れ出たのかを知ることができます。
そしてその国の環境問題にもつながり、どのようにすればその問題を解決できるのかを考えるのです。
環境問題の根源は経済にあります。
もっと分かり易くいうと儲けようとすることが環境問題を引き起こすことにつながっていくのです。
私ひとりが環境汚染をしないように努力しても環境問題は解決できませんし、多くの人々が協力しても環境問題は解決できないのです。
それでは、どうすれば環境問題は解決できるのかを一緒に考えてみませんか。
環境問題が解決すれば、きっとそこには人々の幸せも見えてくるはすです。