The possibilities are endless(可能性は、ホント、無限大です!)
阿部 敦先生
自身の専門領域と関心のあるテーマ
私は、国家資格である社会福祉士の試験科目「社会保障論」を担当しています。
皆さんは、「社会保障」という言葉を耳にした時、何をイメージするのでしょうか?
この点は、人によってかなりの個人差があるように思われます。
ある人は、医療保険や年金などの社会保険制度をイメージするかもしれません。
また、ある人は、生活保護を連想することでしょう。
そうかと思えば、医療、年金、生活保護などを含む社会保障財政に関心を向ける人もいるはずです。
私の場合は、社会保障に関係する各種制度への関心をベースにしつつも、マクロ的観点からみた「現代社会における社会保障」に強い関心があります。
また、そうした問題意識を有する過程で、社会保障教育や、人々が社会保障に対して抱くイメージなどへの関心も高まりました。
さらに、介護福祉への問題意識も強くなりました。
次の6冊の著書(単著)や訳書(監訳者の一人として関与)は、前述した問題意識を活字化したものになります。
- (2019年9月刊行:全182頁)
関西学院大学出版会 - (2018年7月刊行:全119頁)
関西学院大学出版会 - (2018年1月刊行:全651頁)
金沢電子出版株式会社 - (2021年12月刊行:全138頁)
東京学芸大学出版会 - (2023年3月刊行:全195頁)
東京学芸大学出版会 - (2023年3月刊行:全288頁)
クリエイツかもがわ
学生時代にしておいて欲しいこと
皆さんは、大学生としての日々を過ごす中で、様々な経験をされることでしょう。その際に、「出会い」を大切にしてほしいと思います。「人」はもちろんですが、「良い本」との出会いという意味でも、「出会い」は大切です。
社会に出ると、まとまった時間がなかなか取れなくなります。換言すれば、細切れの時間がメインになる、ということです。しかし学生時代は、細切れの時間だけでなく、ある程度まとまった時間も持つことができます。私は、そのまとまった時間をどう用いるかによって、これからの人生の少なくない部分が決まってくるように考えています。実際、良い本との出会は、人生を変えるほどの大きなインパクトをもたらします。
生活環境は、簡単には変えることができません。人との出会いも、相手のあることですから、望むような出会いに恵まれるという意味では、非常に難しいものだといえましょう。しかし、良本は自らが主体的に選ぶことができます。そして本を読んでいればこそ到達できる「広い世界」があります。こうした「本を読んだからこそ体得できる何か」の存在に、是非、学生時代を通じて、繰り返し触れてほしいと考えています。
- 最後に、私自身のことを少々
- 私は現在、熊本県、福岡県、兵庫県の3箇所に生活拠点を持っています。
仕事と私用のため、ほぼ毎週、この3県を往来しているわけですが、そうした日常の中で気付くのは、「福祉の地域差は、思った以上に大いきなぁ……」ということです。
都市部の博多から、大学の最寄り駅である新玉名駅まで新幹線で約40分、緑豊かなキャンパスで教壇に立っていると、「福祉の観点」からみた都市部と地方との格差が目につくようになります。
また、九州と関西による違いにも敏感になります。
もちろん、差異だけでなく、共通する点にも意識が向きます。
一箇所にとどまる生き方も一つです。
しかし、同時並行的に複数の生活拠点を持つことで、見えてくる現実や気付きもあります。
今は、そうした稀有な状況下にある自らを自覚的に意識し、一つ一つの気付きを大切にしたいと考えています。
それでは皆さんと、緑豊かなキャンパスでお会いできることを楽しみにしています。